@IDX:18600
@OFF:0x346
@SPK:
@JPN:　　　　　　『死は生の一形態であり、
@ENG:

@IDX:18601
@OFF:0x378
@SPK:
@JPN:　　　　　　　人は死ぬために生き、
@ENG:

@IDX:18602
@OFF:0x3a8
@SPK:
@JPN:　　　　　生きることによって死を迎える』
@ENG:

@IDX:18603
@OFF:0x3f0
@SPK:
@JPN:　どこかでそんな言葉を聞いたような気がする。
@ENG:

@IDX:18604
@OFF:0x42a
@SPK:
@JPN:　どこで聞いたか、はっきりとは思い出せないが、僕　の心に深く刻まれた言葉であることだけは確かだ。　
@ENG:

@IDX:18605
@OFF:0x4ac
@SPK:
@JPN:　考えてみれば、僕の人生において、『死』は身近な　存在だった。
@ENG:

@IDX:18606
@OFF:0x508
@SPK:
@JPN:　父と祖父の職場として存在する病院という場所。
@ENG:

@IDX:18607
@OFF:0x544
@SPK:
@JPN:　僕を育ててくれた年老いた祖父母。
@ENG:

@IDX:18608
@OFF:0x574
@SPK:
@JPN:　僕にとって『死』とは、遠い場所におぼろげに存在　しているものではなく、ごく近い場所に事実として　確実に存在するものだったのである。
@ENG:

@IDX:18609
@OFF:0x618
@SPK:
@JPN:　そんな僕だが、『死体』というものに対する知識は　ほとんどない。
@ENG:

@IDX:18610
@OFF:0x676
@SPK:
@JPN:　祖父の葬儀の時、死化粧を施された祖父の姿を見た　ことはある。
@ENG:

@IDX:18611
@OFF:0x6c2
@SPK:
@JPN:　それは生きている時とほとんど変わらず、ただ冷た　くなって、動かないだけ。そんな理解しがたいもの　という印象しか受けなかった。
@ENG:

@IDX:18612
@OFF:0x75e
@SPK:
@JPN:　だからなのだろうか。
@ENG:

@IDX:18613
@OFF:0x782
@SPK:
@JPN:　未知の『死体』という存在に対して、言いようのな　い恐怖を感じる。
@ENG:

@IDX:18614
@OFF:0x7d2
@SPK:
@JPN:　それは……こうして病院で働くようになった今でも　変わりはない。
@ENG:

@IDX:18615
@OFF:0x89b
@SPK:
@JPN:　僕は病院で働いている。
@ENG:

@IDX:18616
@OFF:0x8c1
@SPK:
@JPN:　働いているといっても、医者や看護士ではない。
@ENG:

@IDX:18617
@OFF:0x8fd
@SPK:
@JPN:　単なる事務局のアルバイトだ。
@ENG:

@IDX:18618
@OFF:0x929
@SPK:
@JPN:　以前はこの病院の清掃員として働いていたのだが、　ある人の口利きがあって、より高い給料の今の仕事　に移らせてもらった。
@ENG:

@IDX:18619
@OFF:0x9c1
@SPK:
@JPN:　僕には医者になるという夢がある。
@ENG:

@IDX:18620
@OFF:0x9fd
@SPK:
@JPN:　僕は両親を早くに亡くしている。
@ENG:

@IDX:18621
@OFF:0xa2b
@SPK:
@JPN:　そんな幼い僕に、父がどれだけ立派な医者だったか　祖父はよく話して聞かせてくれた。
@ENG:

@IDX:18622
@OFF:0xa8b
@SPK:
@JPN:　父の思い出を持たない僕にとって、それだけが唯一　の父の記憶だった。
@ENG:

@IDX:18623
@OFF:0xadd
@SPK:
@JPN:　『僕も大きくなったら医者になる』
@ENG:

@IDX:18624
@OFF:0xb0d
@SPK:
@JPN:　いつの間にか胸の奥に、そんな思いを強く持つよう　になっていた。
@ENG:

@IDX:18625
@OFF:0xb6d
@SPK:
@JPN:　自分の将来について考えるようになった頃、僕の中　のその思いは、強い目的意識を持ったものに生まれ　変わった。
@ENG:

@IDX:18626
@OFF:0xbf9
@SPK:
@JPN:　医者になろう。
@ENG:

@IDX:18627
@OFF:0xc17
@SPK:
@JPN:僕も医者になろう。
@ENG:

@IDX:18628
@OFF:0xc37
@SPK:
@JPN:　父のような立派な医者に……僕もなってみせよう。　
@ENG:

@IDX:18629
@OFF:0xc87
@SPK:
@JPN:　僕は、父の母校への入学を目指した。
@ENG:

@IDX:18630
@OFF:0xcb9
@SPK:
@JPN:　学力的な不安はそれほどなかった。
@ENG:

@IDX:18631
@OFF:0xce9
@SPK:
@JPN:　だが、それ以外に大きな不安を僕は抱えていた。
@ENG:

@IDX:18632
@OFF:0xd25
@SPK:
@JPN:　経済的不安。
@ENG:

@IDX:18633
@OFF:0xd41
@SPK:
@JPN:　それが僕の抱える問題の正体だった。
@ENG:

@IDX:18634
@OFF:0xd81
@SPK:
@JPN:　両親を早くに亡くした僕にとって、かじるべきスネ　は存在しない。
@ENG:

@IDX:18635
@OFF:0xdcf
@SPK:
@JPN:　祖父もすでに他界した。
@ENG:

@IDX:18636
@OFF:0xdf5
@SPK:
@JPN:　遺された僕を何かにつけて不憫がり、孫のこれから　を案じていた祖母も先年、僕が高校を卒業するのを　見届けて亡くなった。
@ENG:

@IDX:18637
@OFF:0xe89
@SPK:
@JPN:　自活しながら医者を志す僕は、病院でアルバイトを　して大学進学のための費用を稼ぐ道を選択した。
@ENG:

@IDX:18638
@OFF:0xef5
@SPK:
@JPN:　もちろん受験のために勉強をしなければならないの　だから正直言ってかなりきつい。
@ENG:

@IDX:18639
@OFF:0xf53
@SPK:
@JPN:　もっと稼ぎのいいバイトもあるだろう。
@ENG:

@IDX:18640
@OFF:0xf95
@SPK:
@JPN:　だが僕にとっては、この病院で働くこと自体に意味　がある。
@ENG:

@IDX:18641
@OFF:0xfdd
@SPK:
@JPN:　目指す医大の付属病院。
@ENG:

@IDX:18642
@OFF:0x1003
@SPK:
@JPN:　ここで働くことによって僕のモチベーションは高い　状態でキープされ、常にやる気のある状態で勉強に　向かうことができる。
@ENG:

@IDX:18643
@OFF:0x1093
@SPK:
@JPN:　それに、ここで働けば寮を使わせてもらえる。
@ENG:

@IDX:18644
@OFF:0x10cd
@SPK:
@JPN:　それも無料で。
@ENG:

@IDX:18645
@OFF:0x10eb
@SPK:
@JPN:　給料自体は一般的なバイトと大差ないが、それでも　かなり条件のいい仕事だと言えるだろう。
@ENG:

@IDX:18646
@OFF:0x1151
@SPK:
@JPN:　この調子なら、来年は、念願の医学部に進学できる　かもしれない。
@ENG:

@IDX:18647
@OFF:0x119f
@SPK:
@JPN:　そうなれば、あとは僕の努力次第で夢が現実になる　はずだ……きっと……。
@ENG:

@IDX:18649
@OFF:0x12f6
@SPK:［事務の女性］
@JPN:　あ、バイト君。今、手は空いてる？
@ENG:

@IDX:18650
@OFF:0x1346
@SPK:
@JPN:　この女性は、真田美和子さん。
@ENG:

@IDX:18651
@OFF:0x1372
@SPK:
@JPN:　僕が事務局でアルバイトを始めたころから、何かと　お世話になっている。
@ENG:

@IDX:18652
@OFF:0x13c6
@SPK:
@JPN:　よく気のつく人で、笑顔を絶やすことのない明るい　女性だ。
@ENG:

@IDX:18653
@OFF:0x140e
@SPK:
@JPN:　僕のことをよくからかってくるが、どうしてか腹が　立ったりすることはない。
@ENG:

@IDX:18654
@OFF:0x1466
@SPK:
@JPN:　これも彼女の性格ゆえだろうか。
@ENG:

@IDX:18657
@OFF:0x14d0
@SPK:[\protag]
@JPN:　ええ、空いてますが……仕事ですか？
@ENG:

@IDX:18659
@OFF:0x1539
@SPK:［美和子］
@JPN:　ううん、違うの。副院長先生から連絡があって、すぐ副院長室まで来て欲しいそうなの。
@ENG:

@IDX:18662
@OFF:0x15c1
@SPK:[\protag]
@JPN:　副院長が……ですか？
@ENG:

@IDX:18664
@OFF:0x1692
@SPK:［美和子］
@JPN:　ええ。何だか随分慌てていたけど……何かやったの？
@ENG:

@IDX:18667
@OFF:0x16fa
@SPK:[\protag]
@JPN:　まさか。
@ENG:

@IDX:18669
@OFF:0x17bf
@SPK:［美和子］
@JPN:　そうよね。……キミがミスしたとしたら、私たちが気づかないはずないもの。
@ENG:

@IDX:18672
@OFF:0x183d
@SPK:[\protag]
@JPN:　でしょう？
@ENG:

@IDX:18674
@OFF:0x1904
@SPK:［美和子］
@JPN:　とにかく早く行った方がいいんじゃない？　副院長室の場所、知ってるわよね？
@ENG:

@IDX:18677
@OFF:0x1984
@SPK:[\protag]
@JPN:　もちろんです。じゃあ、ちょっと行ってきます。
@ENG:

@IDX:18679
@OFF:0x1ac6
@SPK:［女の声］
@JPN:　……どうぞ。
@ENG:

@IDX:18682
@OFF:0x1b0a
@SPK:[\protag]
@JPN:　失礼します。
@ENG:

@IDX:18684
@OFF:0x1c86
@SPK:［副院長］
@JPN:　あら、早かったのね？　仕事はいいの？
@ENG:

@IDX:18687
@OFF:0x1ce2
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。丁度手が空いたところです。
@ENG:

@IDX:18689
@OFF:0x1d49
@SPK:［副院長］
@JPN:　そう……じゃあ、早速用件に移ろうかしら？
@ENG:

@IDX:18692
@OFF:0x1da9
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かりました。
@ENG:

@IDX:18693
@OFF:0x1de9
@SPK:
@JPN:　僕の目の前に立つ美しい女性。
@ENG:

@IDX:18694
@OFF:0x1e15
@SPK:
@JPN:　彼女の名前は露崎千草。
@ENG:

@IDX:18695
@OFF:0x1e3b
@SPK:
@JPN:　この病院の副院長で、経営の実質トップ。
@ENG:

@IDX:18696
@OFF:0x1e71
@SPK:
@JPN:　日頃研究室に籠りっぱなしという院長に代わって、　病院の経営を一手にになう女性。
@ENG:

@IDX:18697
@OFF:0x1ecf
@SPK:
@JPN:　まだ３０代の若さでありながら、そこまでの地位に　上り詰めた才女。
@ENG:

@IDX:18698
@OFF:0x1f2d
@SPK:
@JPN:　今の仕事に移れたのも、全て彼女のおかげだ。
@ENG:

@IDX:18699
@OFF:0x1f67
@SPK:
@JPN:　僕の身の上を知って同情し、今の仕事に移れるよう　手配してくれた。
@ENG:

@IDX:18700
@OFF:0x1fb7
@SPK:
@JPN:　おかげで、医学部への進学がかなり実現に近づいた　ことは確かだ。
@ENG:

@IDX:18701
@OFF:0x2005
@SPK:
@JPN:　どんな話なのか見当もつかないが、彼女の頼みなら　断ろうとは思わない。
@ENG:

@IDX:18703
@OFF:0x2112
@SPK:［千草］
@JPN:　まず最初に、あなたに謝らないといけないわ。
@ENG:

@IDX:18706
@OFF:0x2174
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　謝るって……何を？
@ENG:

@IDX:18708
@OFF:0x21d1
@SPK:［千草］
@JPN:　実はあなたを今の仕事に回したことが、理事会の連中にバレてしまったの。給与明細まで細かくチェックする理事がいるなんて思わなかったから……。
@ENG:

@IDX:18711
@OFF:0x2291
@SPK:[\protag]
@JPN:　バレたって……未承認だったんですか？
@ENG:

@IDX:18713
@OFF:0x22fa
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ。守秘義務の関係で事務局はバイト禁止っていうのが原則だから、話したところで通らないと思ったしね。
@ENG:

@IDX:18715
@OFF:0x23a3
@SPK:［千草］
@JPN:　案の定、アルバイトなんかで雇わないで正規の職員として契約しろって言われたわ。
@ENG:

@IDX:18718
@OFF:0x2427
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、でも僕は来年受験する予定だから……。
@ENG:

@IDX:18720
@OFF:0x2494
@SPK:［千草］
@JPN:　分かってるわ。あなたが長期間拘束されるような、正式な採用を望んではいないって……。
@ENG:

@IDX:18723
@OFF:0x251e
@SPK:[\protag]
@JPN:　じゃ、じゃあ、僕はどうなるんですか？
@ENG:

@IDX:18725
@OFF:0x2587
@SPK:［千草］
@JPN:　今の仕事は、今日付けで解雇ってことになるわ。それで……。
@ENG:

@IDX:18726
@OFF:0x25f3
@SPK:
@JPN:　一瞬、目の前が暗くなる。
@ENG:

@IDX:18727
@OFF:0x261b
@SPK:
@JPN:　せっかく近づいた大学入学が遠のいてしまった。
@ENG:

@IDX:18728
@OFF:0x2657
@SPK:
@JPN:　来年はなどと思っていた矢先、こんなことになると　は思ってもみなかった。
@ENG:

@IDX:18730
@OFF:0x2766
@SPK:［千草］
@JPN:　……で、どうする？
@ENG:

@IDX:18733
@OFF:0x27b0
@SPK:[\protag]
@JPN:　は？　あ、えっと……どうするって？
@ENG:

@IDX:18735
@OFF:0x2891
@SPK:［千草］
@JPN:　やだ、聞いてなかったの？
@ENG:

@IDX:18737
@OFF:0x2964
@SPK:［千草］
@JPN:　あなたに別の仕事を用意してあるんだけど、どうする？　って聞いたの。
@ENG:

@IDX:18740
@OFF:0x29de
@SPK:[\protag]
@JPN:　ええっ！？　いいんですか？　そこまでしてもらっちゃって。
@ENG:

@IDX:18742
@OFF:0x2a5b
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ。このままクビじゃ、あまりにも可哀想だもの。
@ENG:

@IDX:18745
@OFF:0x2ac3
@SPK:[\protag]
@JPN:　でも、また理事会にバレたら……。
@ENG:

@IDX:18747
@OFF:0x2b28
@SPK:［千草］
@JPN:　大丈夫よ。今の仕事より表に出ないから目立たないし、今度の仕事は私の個人的裁量に任されてるの。
@ENG:

@IDX:18749
@OFF:0x2bc9
@SPK:［千草］
@JPN:　それに、ほとんど臨時雇いみたいなものだから……もしバレたとしても、いくらでも言い訳はできるわ。
@ENG:

@IDX:18752
@OFF:0x2c5f
@SPK:[\protag]
@JPN:　臨時雇い……じゃあ契約期間が過ぎたら、お払い箱ですか。
@ENG:

@IDX:18754
@OFF:0x2cda
@SPK:［千草］
@JPN:　まさか、そんなことしないわよ。契約が切れたら事務の仕事に戻れるように手配してあげるわ。ほとぼりが冷めるまで……そう理解してもらって構わないわ。
@ENG:

@IDX:18757
@OFF:0x2da0
@SPK:[\protag]
@JPN:　……そんなにうまくいくでしょうか？
@ENG:

@IDX:18759
@OFF:0x2e07
@SPK:［千草］
@JPN:　まあそうね……事務局は無理だとしても、なにか病院に関わりのある仕事を見つけてあげる。安心していいわ。
@ENG:

@IDX:18762
@OFF:0x2ea3
@SPK:[\protag]
@JPN:　ありがとうございます。そう言っていただけると心強いです。
@ENG:

@IDX:18764
@OFF:0x2f20
@SPK:［千草］
@JPN:　フフフ、大袈裟ね。で、臨時の仕事の方は引き受けてもらえる……ってことでいいのかしら？
@ENG:

@IDX:18767
@OFF:0x2fac
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。
@ENG:

@IDX:18769
@OFF:0x2ff7
@SPK:［千草］
@JPN:　じゃあこの書類をよく読んで、下にサインしてちょうだい。
@ENG:

@IDX:18770
@OFF:0x306b
@SPK:
@JPN:　手渡された書類に目を通していく。
@ENG:

@IDX:18771
@OFF:0x309b
@SPK:
@JPN:　だが、最初の数行を読んだところで動きが止まって　しまった。
@ENG:

@IDX:18772
@OFF:0x30e5
@SPK:
@JPN:　そこには、副院長が用意してくれた仕事の名称が、　はっきりと書いてある。
@ENG:

@IDX:18774
@OFF:0x31fc
@SPK:［千草］
@JPN:　どうしたの？　顔色が悪いわよ。
@ENG:

@IDX:18777
@OFF:0x3252
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの……これ、誰か別の人に渡す書類と間違えてませんか？
@ENG:

@IDX:18779
@OFF:0x3347
@SPK:［千草］
@JPN:　え？　間違えてないはずよ。遺体の清掃業務って書いてあるでしょう？
@ENG:

@IDX:18782
@OFF:0x33bf
@SPK:[\protag]
@JPN:　……ええ、はっきりと太字で。
@ENG:

@IDX:18784
@OFF:0x3496
@SPK:［千草］
@JPN:　なら間違えてないわ。
@ENG:

@IDX:18785
@OFF:0x34dc
@SPK:
@JPN:　遺体の清掃業務……こう言うと、ピンとこないかも　しれない。
@ENG:

@IDX:18786
@OFF:0x3526
@SPK:
@JPN:　だがこの仕事の別名ならば、聞いたことのある人も　いるのではないか？
@ENG:

@IDX:18787
@OFF:0x3578
@SPK:
@JPN:　それほどにメジャーで、高給なバイトの代名詞にも　なっている仕事。
@ENG:

@IDX:18788
@OFF:0x35dc
@SPK:
@JPN:　この仕事を、俗にこう呼ぶ。
@ENG:

@IDX:18789
@OFF:0x3620
@SPK:
@JPN:　　　　　　　　…
@ENG:

@IDX:18790
@OFF:0x363e
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:18791
@OFF:0x364c
@SPK:
@JPN:死
@ENG:

@IDX:18792
@OFF:0x365a
@SPK:
@JPN:体
@ENG:

@IDX:18793
@OFF:0x3668
@SPK:
@JPN:洗
@ENG:

@IDX:18794
@OFF:0x3676
@SPK:
@JPN:い
@ENG:

@IDX:18795
@OFF:0x3684
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:18796
@OFF:0x3692
@SPK:
@JPN:…
@ENG:

@IDX:18798
@OFF:0x36f7
@SPK:［千草］
@JPN:　ますます顔色が悪くなってるわよ？　具合でも悪いの？
@ENG:

@IDX:18801
@OFF:0x3761
@SPK:[\protag]
@JPN:　……こんな……死体洗い、なんて……。
@ENG:

@IDX:18803
@OFF:0x3844
@SPK:［千草］
@JPN:　『死体洗い』じゃないわ、『遺体の清掃業務』よ。医学の発展のために献体してくださった方々のご遺体を洗う立派な仕事よ。俗っぽい言い方はやめてちょうだい。
@ENG:

@IDX:18806
@OFF:0x3910
@SPK:[\protag]
@JPN:　呼び方なんてどうでもいいです！　だって、これって……。
@ENG:

@IDX:18808
@OFF:0x3a01
@SPK:［千草］
@JPN:　ひょっとして、この仕事は嫌なの？　なんで、こんな仕事しか用意してくれないんだ……って思ってる？
@ENG:

@IDX:18811
@OFF:0x3a97
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、それは………………。
@ENG:

@IDX:18813
@OFF:0x3af4
@SPK:［千草］
@JPN:　でもね、私も急だったから、他にはちょっと……。こんな仕事だけど、やってもらえないかしら……？
@ENG:

@IDX:18814
@OFF:0x3b84
@SPK:
@JPN:　急な話なのは、こちらも同じだ。
@ENG:

@IDX:18815
@OFF:0x3bb2
@SPK:
@JPN:　今の仕事は今日付けで辞めろ、代わりに死体洗いを　用意した。
@ENG:

@IDX:18816
@OFF:0x3bfc
@SPK:
@JPN:　こんなことを突然言われて、はいそうですかと納得　できるはずがない。
@ENG:

@IDX:18817
@OFF:0x3c5e
@SPK:
@JPN:　だが、引き受けなければ職を失う。
@ENG:

@IDX:18818
@OFF:0x3c8e
@SPK:
@JPN:　せっかく手に入れた住み込みの仕事。
@ENG:

@IDX:18819
@OFF:0x3cc0
@SPK:
@JPN:　目指す医大の付属病院で、部屋代もタダ。
@ENG:

@IDX:18820
@OFF:0x3cf6
@SPK:
@JPN:　これを失ってもいいのか？
@ENG:

@IDX:18821
@OFF:0x3d32
@SPK:
@JPN:そんな仕事、できません
@ENG:

@IDX:18822
@OFF:0x3d4f
@SPK:
@JPN:ごねてもクビになるだけか……
@ENG:

@IDX:18825
@OFF:0x3dce
@SPK:[\protag]
@JPN:　そんな仕事、僕にはできません。
@ENG:

@IDX:18827
@OFF:0x3e31
@SPK:［千草］
@JPN:　……何でそんなことを言うの？
@ENG:

@IDX:18830
@OFF:0x3e85
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　な、何でって……。
@ENG:

@IDX:18832
@OFF:0x3ee2
@SPK:［千草］
@JPN:　この仕事を断るんなら、あなたはこの病院から出て行かないといけないのよ？　そんな悲しいこと言わないで。
@ENG:

@IDX:18835
@OFF:0x3f7e
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、あの……何が言いたいんですか？
@ENG:

@IDX:18837
@OFF:0x405b
@SPK:［千草］
@JPN:　私ね、今でこそ『副院長先生』なんて呼ばれてるけど、医大に入るのには結構苦労したのよ……あなたと同じ理由で……。
@ENG:

@IDX:18840
@OFF:0x4101
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうなんですか？
@ENG:

@IDX:18842
@OFF:0x4156
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ。水商売に風俗……大きな声じゃ言えないけど、店の客と寝たこともあるわ。
@ENG:

@IDX:18846
@OFF:0x4299
@SPK:[\protag]
@JPN:うわっ！
@ENG:

@IDX:18848
@OFF:0x42e4
@SPK:［千草］
@JPN:　嘘だと思う？　でも事実よ。こんな風に誘って……。
@ENG:

@IDX:18851
@OFF:0x43e2
@SPK:[\protag]
@JPN:　ふ、副院長……。
@ENG:

@IDX:18853
@OFF:0x4437
@SPK:［千草］
@JPN:　分かって欲しいの……あなたには昔の私と同じ苦労をさせたくないって気持ち……。
@ENG:

@IDX:18856
@OFF:0x44bb
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、あ……。
@ENG:

@IDX:18858
@OFF:0x450c
@SPK:［千草］
@JPN:　でも、私の力はこの病院でしか通用しない……あなたがここを離れたら、何の力にもなってあげられない……。
@ENG:

@IDX:18860
@OFF:0x45b5
@SPK:［千草］
@JPN:　だから、手の届くところにいて欲しいのよ……手を伸ばせば、こうして触れることのできる距離に……。
@ENG:

@IDX:18863
@OFF:0x464b
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、でも、遺体の清掃なんて……。
@ENG:

@IDX:18865
@OFF:0x46b0
@SPK:［千草］
@JPN:　あなたがこの仕事を嫌がる気持ちは理解できるわ……だから、そんなに長くはやらせない。契約は１ヶ月。作業自体はせいぜい２週間程度……それだけでいいわ。
@ENG:

@IDX:18868
@OFF:0x477a
@SPK:[\protag]
@JPN:　作業は……２週間、だけ？
@ENG:

@IDX:18870
@OFF:0x47d7
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ……報酬の方は３０万……月給としてね。残りの２週間は勉強でも休養でも好きにしたらいいわ。
@ENG:

@IDX:18873
@OFF:0x486b
@SPK:[\protag]
@JPN:　ど、どうしてそこまで……。金に困ってる浪人生なんて僕だけじゃないのに……。
@ENG:

@IDX:18875
@OFF:0x48fa
@SPK:［千草］
@JPN:　言ったでしょう？　私の力が通用するのはこの病院でだけ……そして、この病院にいるのはあなただけ……。つまり私が助けてあげられるのはあなただけなのよ。
@ENG:

@IDX:18878
@OFF:0x49c4
@SPK:[\protag]
@JPN:　それは、そうかもしれませんが……。
@ENG:

@IDX:18880
@OFF:0x4a2b
@SPK:［千草］
@JPN:　だから、あなたにチャンスをあげる。昔の私なら、迷わず手にしたわ……。
@ENG:

@IDX:18882
@OFF:0x4ab4
@SPK:［千草］
@JPN:　でも、いま決めるのはあなた。どうするの？　このチャンスを活かすも殺すも、あなた次第よ？
@ENG:

@IDX:18883
@OFF:0x4b3e
@SPK:
@JPN:　このチャンスを活かすか殺すか……。
@ENG:

@IDX:18884
@OFF:0x4b70
@SPK:
@JPN:　副院長の厚意、大金と２週間もの時間を手に入れる　チャンス……それらをフイにするなど、僕にはでき　ない。
@ENG:

@IDX:18887
@OFF:0x4c22
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かりました。その仕事、お引き受けします。
@ENG:

@IDX:18889
@OFF:0x4c91
@SPK:［千草］
@JPN:　やってくれるの？　良かった……。
@ENG:

@IDX:18892
@OFF:0x4ce9
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。それで作業内容の説明とかは……？
@ENG:

@IDX:18894
@OFF:0x4d54
@SPK:［千草］
@JPN:　それは明日ね。実際の作業を見学してもらうわ。それに、説明なんて後でもいいでしょう？
@ENG:

@IDX:18897
@OFF:0x4dde
@SPK:[\protag]
@JPN:　はあ、まあそうですけど……。
@ENG:

@IDX:18899
@OFF:0x4e3f
@SPK:［千草］
@JPN:　じゃあ、決まり……ねえ、隣りの部屋に行きましょう？
@ENG:

@IDX:18902
@OFF:0x4ea9
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　と、隣りに何が……？
@ENG:

@IDX:18904
@OFF:0x4f08
@SPK:［千草］
@JPN:　私のプライベートルームよ。そこなら邪魔は入らないわ……。二人でゆっくりと過ごすには、丁度いい場所よ……。
@ENG:

@IDX:18907
@OFF:0x4fa8
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、それは……つまり、その……。
@ENG:

@IDX:18909
@OFF:0x500d
@SPK:［千草］
@JPN:　フフフ、野暮なことは言いっこなしよ。もうここから先は言葉なんていらないわ……。
@ENG:

@IDX:18911
@OFF:0x50b8
@SPK:［千草］
@JPN:　あら……残念。続きは後日ね。
@ENG:

@IDX:18914
@OFF:0x5229
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　え？
@ENG:

@IDX:18916
@OFF:0x5278
@SPK:［千草］
@JPN:　紹介したい子が来た……そう言えば分かるかしら？　どうぞ、開いてるわよ。
@ENG:

@IDX:18918
@OFF:0x5305
@SPK:［女の声］
@JPN:　……失礼します。
@ENG:

@IDX:18921
@OFF:0x5382
@SPK:[\protag]
@JPN:　一つ質問してもよろしいですか？
@ENG:

@IDX:18923
@OFF:0x545b
@SPK:［千草］
@JPN:　一つと言わずに、知りたいことがあったら何でも聞いて。で、何かしら？
@ENG:

@IDX:18926
@OFF:0x54d5
@SPK:[\protag]
@JPN:　僕に選べるのはこの仕事だけなんですね？
@ENG:

@IDX:18928
@OFF:0x5540
@SPK:［千草］
@JPN:　残念だけど、その通りよ。これ以外にないわ。
@ENG:

@IDX:18931
@OFF:0x55a2
@SPK:[\protag]
@JPN:　……分かりました。お引き受けします。
@ENG:

@IDX:18933
@OFF:0x5685
@SPK:［千草］
@JPN:　いいの？　報酬とか期間とか、まだ説明してないわよ？
@ENG:

@IDX:18936
@OFF:0x56ef
@SPK:[\protag]
@JPN:　信じてますから。
@ENG:

@IDX:18938
@OFF:0x57ba
@SPK:［千草］
@JPN:　……ありがとう。じゃあ書類にサインをお願いね。
@ENG:

@IDX:18941
@OFF:0x5820
@SPK:[\protag]
@JPN:　はい。
@ENG:

@IDX:18943
@OFF:0x586b
@SPK:［千草］
@JPN:　それから、一応条件とかの説明もしておくわね？　あとでゴタゴタしてもイヤだから。
@ENG:

@IDX:18946
@OFF:0x58f1
@SPK:[\protag]
@JPN:　お願いします。
@ENG:

@IDX:18948
@OFF:0x5944
@SPK:［千草］
@JPN:　契約はひと月単位でしてもらうことになるわ。でも、作業自体の期間はせいぜい２週間程度よ……それ以上は必要ないから。
@ENG:

@IDX:18951
@OFF:0x59ec
@SPK:[\protag]
@JPN:　作業は２週間だけ……ですか？
@ENG:

@IDX:18953
@OFF:0x5a4d
@SPK:［千草］
@JPN:　ええ、そう。残りの期間は休養でも勉強でも好きにしてくれていいわ。それで月給３０万……どうかしら？　信頼に応えるには充分だと思うけど？
@ENG:

@IDX:18954
@OFF:0x5b05
@SPK:
@JPN:　条件だけを見れば、確かに悪くない。
@ENG:

@IDX:18955
@OFF:0x5b37
@SPK:
@JPN:　たった２週間の労働で月給３０万……今の仕事より　余程好条件だ。
@ENG:

@IDX:18956
@OFF:0x5b85
@SPK:
@JPN:　ようするに、それだけつらい仕事なのだろう。
@ENG:

@IDX:18958
@OFF:0x5c8e
@SPK:［千草］
@JPN:　……あら、来たみたいね。
@ENG:

@IDX:18961
@OFF:0x5cde
@SPK:[\protag]
@JPN:　この後、誰かと約束でも？　でしたら僕はこれで……。
@ENG:

@IDX:18963
@OFF:0x5dcb
@SPK:［千草］
@JPN:　待ちなさい。あなたがいなければ呼んだ意味がないわ。
@ENG:

@IDX:18966
@OFF:0x5e35
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　じゃあ……。
@ENG:

@IDX:18968
@OFF:0x5e8c
@SPK:［千草］
@JPN:　そう、仕事の関係者……どうぞ、開いてるわ。
@ENG:

@IDX:18970
@OFF:0x5efd
@SPK:［女の声］
@JPN:　……失礼します。
@ENG:

@IDX:18971
@OFF:0x6079
@SPK:
@JPN:　大人しい声に続き、いかにも真面目そうな看護婦が　入ってきた。
@ENG:

@IDX:18972
@OFF:0x60c5
@SPK:
@JPN:　副院長とはタイプの違う、可憐な女性。
@ENG:

@IDX:18973
@OFF:0x60f9
@SPK:
@JPN:　彼女と死体洗い……どうもイメージが合わない。
@ENG:

@IDX:18975
@OFF:0x617e
@SPK:［千草］
@JPN:　彼女は看護婦の御堂悠紀さん。この仕事の担当看護婦よ。何か困ったことがあったら彼女に相談なさい。
@ENG:

@IDX:18977
@OFF:0x6221
@SPK:［悠紀］
@JPN:　……御堂です。よろしくお願いします。
@ENG:

@IDX:18980
@OFF:0x627d
@SPK:[\protag]
@JPN:　こちらこそ、よろしくお願いします。
@ENG:

@IDX:18982
@OFF:0x62e4
@SPK:［千草］
@JPN:　彼のことは昨夜話したわよね？　仕事の方は引き受けてもらえたから、後の説明は任せるわ。
@ENG:

@IDX:18984
@OFF:0x637d
@SPK:［悠紀］
@JPN:　はい、分かりました。
@ENG:

@IDX:18987
@OFF:0x63c9
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　あの、副院長は？
@ENG:

@IDX:18989
@OFF:0x6424
@SPK:［千草］
@JPN:　悪いけど席を外させてもらうわ。私も色々と忙しいの。
@ENG:

@IDX:18991
@OFF:0x649b
@SPK:［千草］
@JPN:　すぐに戻れるとは思うけど、話が終わったら帰っても構わないわよ。事務局には私から言っておくから、今日は部屋でゆっくり休みなさい。
@ENG:

@IDX:18992
@OFF:0x66cb
@SPK:
@JPN:　主がいなくなった部屋に、僕と彼女が残される。
@ENG:

@IDX:18993
@OFF:0x6707
@SPK:
@JPN:　御堂悠紀……と言ったか？
@ENG:

@IDX:18994
@OFF:0x672f
@SPK:
@JPN:　彼女は僕を値踏みするような目で見ながら、僅かに　嘆息してみせた。
@ENG:

@IDX:18995
@OFF:0x677f
@SPK:
@JPN:　事情を知ってるのか、その視線には僅かな哀れみが　浮かんでいる。
@ENG:

@IDX:18997
@OFF:0x6816
@SPK:［悠紀］
@JPN:　副院長先生からもお話があったと思いますが、もう一度簡単な説明をさせていただきます。
@ENG:

@IDX:19000
@OFF:0x68a0
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっと……お願いします。
@ENG:

@IDX:19002
@OFF:0x68fd
@SPK:［悠紀］
@JPN:　すでにご承知だとは思いますが、仕事内容はご遺体の清掃作業です。
@ENG:

@IDX:19004
@OFF:0x6980
@SPK:［悠紀］
@JPN:　基本的には朝の８時に病院へ来ていただいて、その日の作業に関するミーティングを行います。
@ENG:

@IDX:19006
@OFF:0x6a1b
@SPK:［悠紀］
@JPN:　そのあとに作業開始、終了後に再びミーティングを行います。
@ENG:

@IDX:19009
@OFF:0x6a8b
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの……作業の手順とかはどうしたらいいんですか？
@ENG:

@IDX:19011
@OFF:0x6b00
@SPK:［悠紀］
@JPN:　明日、職員の手本を見ていただくことになっています。詳しいことは、その時に……。
@ENG:

@IDX:19014
@OFF:0x6b86
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、これからその人と一緒に仕事をすることになるんですか？
@ENG:

@IDX:19016
@OFF:0x6c03
@SPK:［悠紀］
@JPN:　いいえ、作業は原則としてお一人でやっていただくことになっていますので……。
@ENG:

@IDX:19019
@OFF:0x6c85
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　まさか、僕一人でってことですか？
@ENG:

@IDX:19021
@OFF:0x6cf0
@SPK:［悠紀］
@JPN:　……はい。
@ENG:

@IDX:19024
@OFF:0x6d32
@SPK:[\protag]
@JPN:　そう……ですか……。でも、一日に何体ぐらい洗うんですか？いくらなんでも、僕一人で１０体も２０体も洗えるとは思えないんですけど……。
@ENG:

@IDX:19026
@OFF:0x6df9
@SPK:［悠紀］
@JPN:　一日でそんなに多くのご遺体を洗っていただくことはないと思います。ですが、業務の性格上、一日に何体と申し上げることはできません。
@ENG:

@IDX:19029
@OFF:0x6eaf
@SPK:[\protag]
@JPN:　はあ……。
@ENG:

@IDX:19031
@OFF:0x6efe
@SPK:［悠紀］
@JPN:　時間も先程申し上げたように朝の８時が基本ですが、日によっては夜になることもあります。
@ENG:

@IDX:19034
@OFF:0x6f8a
@SPK:[\protag]
@JPN:　夜！？　まさか深夜に呼び出されるなんてことは……。
@ENG:

@IDX:19036
@OFF:0x7001
@SPK:［悠紀］
@JPN:　その場合は、翌日に繰り越されると思います。また、夜になる場合も、極力事前にご連絡いたします。
@ENG:

@IDX:19039
@OFF:0x7095
@SPK:[\protag]
@JPN:　はあ……お願いします。
@ENG:

@IDX:19041
@OFF:0x70f0
@SPK:［悠紀］
@JPN:　それから……週に１回、土曜日か日曜日のいずれかに健康診断をするそうです。
@ENG:

@IDX:19044
@OFF:0x7170
@SPK:[\protag]
@JPN:　健康診断？　何のためにやるんですか？
@ENG:

@IDX:19046
@OFF:0x71d9
@SPK:［悠紀］
@JPN:　さあ？　その辺は副院長先生に直接聞いてください。健康診断は先生がなさるそうですから。
@ENG:

@IDX:19049
@OFF:0x7265
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか……。
@ENG:

@IDX:19051
@OFF:0x72ba
@SPK:［悠紀］
@JPN:　最後に……これが一番重要なことですが、この仕事……ご遺体の清掃作業については守秘義務が適用されます。
@ENG:

@IDX:19054
@OFF:0x7356
@SPK:[\protag]
@JPN:　守秘義務？　誰にも言うなってことですか？
@ENG:

@IDX:19056
@OFF:0x73c3
@SPK:［悠紀］
@JPN:　そうです。ご友人、ご親戚、ご家族……親しい方々でも例外はありません。相手が関係者の場合のみ、話しても構いません。
@ENG:

@IDX:19059
@OFF:0x746b
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かりました……でも、随分厳しいんですね？
@ENG:

@IDX:19061
@OFF:0x74da
@SPK:［悠紀］
@JPN:　当然です。この仕事で得た知識、経験、その他一切の情報は、全てなかったものとしてください。よろしいですね？
@ENG:

@IDX:19064
@OFF:0x757a
@SPK:[\protag]
@JPN:　は、はい。
@ENG:

@IDX:19066
@OFF:0x75c9
@SPK:［悠紀］
@JPN:　私からはこれくらいです。何か質問はありますか？
@ENG:

@IDX:19067
@OFF:0x7625
@SPK:
@JPN:　質問と言われても、一体何を聞けばいいのか見当が　つかない。
@ENG:

@IDX:19068
@OFF:0x766f
@SPK:
@JPN:　遺体の清掃業務……つまり死体洗いに対する、漠然　としたイメージは持っている。
@ENG:

@IDX:19069
@OFF:0x76cb
@SPK:
@JPN:　だが、詳しい作業の内容……ことさら作業手順など　に関しては、全く想像もつかない。
@ENG:

@IDX:19070
@OFF:0x772b
@SPK:
@JPN:　だから実際に仕事を始めてみないことには、僕が何　を分かっていないのか、何を知らなければならない　のかは見えてこないように思える。
@ENG:

@IDX:19071
@OFF:0x77bb
@SPK:
@JPN:　こんな状態で、何を質問しろと言うのだろうか？
@ENG:

@IDX:19074
@OFF:0x7833
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっと、そうですね……御堂さんは、普段どこにいますか？
@ENG:

@IDX:19076
@OFF:0x78ae
@SPK:［悠紀］
@JPN:　ナースステーションです。それが何か？
@ENG:

@IDX:19079
@OFF:0x790a
@SPK:[\protag]
@JPN:　さっき副院長が、分からないことは御堂さんに聞きなさいって言ってたじゃないですか？　だから、どこにいるのか知っておかないとって思って……。
@ENG:

@IDX:19081
@OFF:0x79d7
@SPK:［悠紀］
@JPN:　それでしたら、お仕事の前か後のミーティングの時に質問してください。あまり人前でこの仕事の話はできませんから。
@ENG:

@IDX:19084
@OFF:0x7a7b
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか……分かりました。
@ENG:

@IDX:19086
@OFF:0x7adc
@SPK:［悠紀］
@JPN:　他には？　なければ仕事があるので戻りたいのですが。
@ENG:

@IDX:19089
@OFF:0x7b46
@SPK:[\protag]
@JPN:　……えっと……あの、明日は８時でいいんですよね。
@ENG:

@IDX:19091
@OFF:0x7bbb
@SPK:［悠紀］
@JPN:　はい。
@ENG:

@IDX:19094
@OFF:0x7bf9
@SPK:[\protag]
@JPN:　場所は……どこに来ればいいんでしょうか。
@ENG:

@IDX:19096
@OFF:0x7c66
@SPK:［悠紀］
@JPN:　ロビーにいらしてください。手本を見せる職員が待っているはずですから。
@ENG:

@IDX:19099
@OFF:0x7ce2
@SPK:[\protag]
@JPN:　８時にロビー……分かりました。
@ENG:

@IDX:19101
@OFF:0x7d45
@SPK:［悠紀］
@JPN:　もうありませんか？
@ENG:

@IDX:19104
@OFF:0x7d8f
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、はい……もう、ないと思います。
@ENG:

@IDX:19106
@OFF:0x7df6
@SPK:［悠紀］
@JPN:　そうですか。では、私はこれで……。
@ENG:

@IDX:19107
@OFF:0x7e6a
@SPK:
@JPN:　仕事がある……彼女の言葉に、一刻も早くここから　出たいという願望が感じられたような気がする。
@ENG:

@IDX:19108
@OFF:0x7ed6
@SPK:
@JPN:　口調も態度も、できるだけ距離を取ろうとしていた　ように感じられた。
@ENG:

@IDX:19109
@OFF:0x7f28
@SPK:
@JPN:　初対面ゆえの人見知りか、或いは僕と話をするのが　嫌だったのか……。
@ENG:

@IDX:19110
@OFF:0x7f97
@SPK:
@JPN:　何にせよ、ここに残っている理由はない。
@ENG:

@IDX:19111
@OFF:0x7fcd
@SPK:
@JPN:　今日はもう帰っていいと言われたし、さっさと部屋　に戻ろう。
@ENG:

@IDX:19113
@OFF:0x80ee
@SPK:［千草］
@JPN:　……話は終わったみたいね。
@ENG:

@IDX:19116
@OFF:0x8140
@SPK:[\protag]
@JPN:　うあっ！？　……って、副院長でしたか……。
@ENG:

@IDX:19118
@OFF:0x8229
@SPK:［千草］
@JPN:　何を驚いてるの？　ここは私の部屋なんだから、戻ってきても不思議じゃないでしょ？　それとも、何か問題でもある？
@ENG:

@IDX:19121
@OFF:0x82cd
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、そういうわけでは……。
@ENG:

@IDX:19123
@OFF:0x83a4
@SPK:［千草］
@JPN:　まあいいわ。それより、御堂さんは？
@ENG:

@IDX:19126
@OFF:0x83fe
@SPK:[\protag]
@JPN:　仕事があるとかで、つい今しがた出て行きました。会いませんでしたか？
@ENG:

@IDX:19128
@OFF:0x8485
@SPK:［千草］
@JPN:　そう……で、あなたは何で残ってるの？　もしかしてさっきの続きがしたい？
@ENG:

@IDX:19131
@OFF:0x8503
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　あ、いや、その……。
@ENG:

@IDX:19133
@OFF:0x8562
@SPK:［千草］
@JPN:　赤くなっちゃって……冗談に決まってるでしょ？　私も仕事が残ってるから、今はお相手できないわ。
@ENG:

@IDX:19136
@OFF:0x85f6
@SPK:[\protag]
@JPN:　そ、そうですよね。し、仕事の邪魔しちゃ悪いですから、僕はこれで……。
@ENG:

@IDX:19138
@OFF:0x867f
@SPK:［千草］
@JPN:　そうね……悪いけど、そうしてもらえる？
@ENG:

@IDX:19141
@OFF:0x86dd
@SPK:[\protag]
@JPN:　で、では……失礼しま……。
@ENG:

@IDX:19143
@OFF:0x87b6
@SPK:［千草］
@JPN:　あ、ちょっと待って。そう言えば、書類にサインしてもらうの忘れてたわ。お願いできるかしら？
@ENG:

@IDX:19146
@OFF:0x8846
@SPK:[\protag]
@JPN:　え？　あっ、すみません。すぐに…………これでいいですか？
@ENG:

@IDX:19148
@OFF:0x8939
@SPK:［千草］
@JPN:　……ええ。ありがとう、もう行っていいわよ。
@ENG:

@IDX:19151
@OFF:0x899b
@SPK:[\protag]
@JPN:　それじゃ、今度こそ……失礼します。
@ENG:

@IDX:19152
@OFF:0x8aaa
@SPK:
@JPN:　明るく、騒がしいロビー。
@ENG:

@IDX:19153
@OFF:0x8ad2
@SPK:
@JPN:　だがここにいる僕の心は、暗く沈んだまま……。
@ENG:

@IDX:19154
@OFF:0x8b0e
@SPK:
@JPN:　周囲の喧噪から隔絶され、たった一つのことだけを　考え続けている。
@ENG:

@IDX:19155
@OFF:0x8b6e
@SPK:
@JPN:　……とんでもないことになってしまった。
@ENG:

@IDX:19156
@OFF:0x8ba4
@SPK:
@JPN:　事務のアルバイトを辞めさせられる理由は分かるし　副院長のせいではないことも理解している。
@ENG:

@IDX:19157
@OFF:0x8c0c
@SPK:
@JPN:　だが、よりによって死体洗いとは……。
@ENG:

@IDX:19158
@OFF:0x8c40
@SPK:
@JPN:　本当にとんでもないことになってしまった……。
@ENG:

@IDX:19160
@OFF:0x8cc7
@SPK:［女の声］
@JPN:　ちょいとあんた、ここの関係者かい？
@ENG:

@IDX:19163
@OFF:0x8d95
@SPK:[\protag]
@JPN:　えっ？　あ、はい……どうかなさいましたか？
@ENG:

@IDX:19165
@OFF:0x8e08
@SPK:［おばさん］
@JPN:　場所が知りたくてねぇ。千草先生のいる部屋には、どう行けばいいんだい？
@ENG:

@IDX:19168
@OFF:0x8e84
@SPK:[\protag]
@JPN:　千草先生？
@ENG:

@IDX:19170
@OFF:0x8ed7
@SPK:［おばさん］
@JPN:　なんだいあんた。副院長の名前も知らないのかい？　露崎千草先生だよ。
@ENG:

@IDX:19173
@OFF:0x8f51
@SPK:[\protag]
@JPN:　あ、ああ。副院長のことですか。普段あんまり名前で呼ばないもので……。
@ENG:

@IDX:19175
@OFF:0x8fde
@SPK:［おばさん］
@JPN:　そうかい……で、その副院長のいる部屋にはどうやって行けばいいんだい？
@ENG:

@IDX:19178
@OFF:0x905a
@SPK:[\protag]
@JPN:　あの……失礼ですが、あなたは？
@ENG:

@IDX:19180
@OFF:0x90c1
@SPK:［おばさん］
@JPN:　見て分かんないのかい？　患者に決まってるさね。
@ENG:

@IDX:19183
@OFF:0x9127
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、そうではなくて……。
@ENG:

@IDX:19184
@OFF:0x9175
@SPK:
@JPN:　この女性は何者だろう？
@ENG:

@IDX:19185
@OFF:0x919b
@SPK:
@JPN:　副院長室に何の用だ？
@ENG:

@IDX:19186
@OFF:0x91bf
@SPK:
@JPN:　案内するのは簡単だが、先に素性と用件を確かめて　からでないと……。
@ENG:

@IDX:19189
@OFF:0x924d
@SPK:[\protag]
@JPN:　申し訳ありませんが、お約束はございますか？
@ENG:

@IDX:19191
@OFF:0x92c0
@SPK:［おばさん］
@JPN:　おや。そんなもんがないと会えないのかい？　あの子も、偉くなっちまって……。
@ENG:

@IDX:19194
@OFF:0x9342
@SPK:[\protag]
@JPN:　……？　ひょっとして、お知り合いですか？
@ENG:

@IDX:19196
@OFF:0x93b3
@SPK:［おばさん］
@JPN:　ああ。ちょっとした昔馴染みさね。
@ENG:

@IDX:19199
@OFF:0x940b
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか……では、ちょっと確認してみますか？
@ENG:

@IDX:19201
@OFF:0x9482
@SPK:［おばさん］
@JPN:　お願いできるかい？
@ENG:

@IDX:19204
@OFF:0x94cc
@SPK:[\protag]
@JPN:　ええ……少しお待ちください。
@ENG:

@IDX:19207
@OFF:0x9644
@SPK:[\protag]
@JPN:　……あっ、真田さん！
@ENG:

@IDX:19209
@OFF:0x969f
@SPK:［美和子］
@JPN:　あら、もう副院長先生の話は済んだの？
@ENG:

@IDX:19212
@OFF:0x96fb
@SPK:[\protag]
@JPN:　ええ、終わりました。それよりこちらのご婦人が……。
@ENG:

@IDX:19214
@OFF:0x9776
@SPK:［おばさん］
@JPN:　ちょいと副院長先生に会いたいんだけどね。連絡してもらえるかい？
@ENG:

@IDX:19216
@OFF:0x9925
@SPK:［美和子］
@JPN:　ああ、面会ですね？　失礼ですが、お約束は……。
@ENG:

@IDX:19219
@OFF:0x998b
@SPK:[\protag]
@JPN:　ないそうです。ですが、お知り合いだそうで……。
@ENG:

@IDX:19221
@OFF:0x9b2a
@SPK:［美和子］
@JPN:　そうなの？　困ったわね……先生、これから会議なのよ。
@ENG:

@IDX:19224
@OFF:0x9b96
@SPK:[\protag]
@JPN:　一応、連絡だけでもしてもらえませんか？
@ENG:

@IDX:19226
@OFF:0x9d2d
@SPK:［美和子］
@JPN:　分かったわ。
@ENG:

@IDX:19228
@OFF:0x9d80
@SPK:［美和子］
@JPN:　それでは確認してみますので、お名前を伺わせていただけますでしょうか？
@ENG:

@IDX:19230
@OFF:0x9e0d
@SPK:［おばさん］
@JPN:　志津江だよ……鎌田志津江。『ティンカーベルの志津江』って言えば、あの子にはすぐ分かるはずさね。
@ENG:

@IDX:19232
@OFF:0x9eb2
@SPK:［美和子］
@JPN:　ティンカーベルの鎌田様ですね？　少々お待ちください。
@ENG:

@IDX:19234
@OFF:0xa0bf
@SPK:［志津江］
@JPN:　わざわざこんなことまでしてもらって、悪かったねぇ？
@ENG:

@IDX:19237
@OFF:0xa129
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、お気になさらないでください。それよりティンカーベルというのは……？
@ENG:

@IDX:19239
@OFF:0xa22e
@SPK:［志津江］
@JPN:　ああ、これさ。
@ENG:

@IDX:19240
@OFF:0xa270
@SPK:
@JPN:　そう言って、僕に名刺を手渡してくれた。
@ENG:

@IDX:19241
@OFF:0xa2a6
@SPK:
@JPN:　……クラブ・ティンカーベル……？
@ENG:

@IDX:19242
@OFF:0xa2d6
@SPK:
@JPN:　すぐ下には彼女が先程名乗った名前と、オーナーの　文字が印刷されている。
@ENG:

@IDX:19245
@OFF:0xa368
@SPK:[\protag]
@JPN:　クラブのママさん……ですか？
@ENG:

@IDX:19247
@OFF:0xa3cb
@SPK:［志津江］
@JPN:　昔はね……今は引退して、オーナー様さ。
@ENG:

@IDX:19250
@OFF:0xa429
@SPK:[\protag]
@JPN:　そうですか……。
@ENG:

@IDX:19252
@OFF:0xa48b
@SPK:［志津江］
@JPN:　あの子がまだ学生の時分に、うちの店で一年ほど働いてたことがあってね……。
@ENG:

@IDX:19255
@OFF:0xa50b
@SPK:[\protag]
@JPN:　ああ、なるほど……。
@ENG:

@IDX:19257
@OFF:0xa5dc
@SPK:［志津江］
@JPN:　……言っとくけど誰にも言うんじゃないよ？
@ENG:

@IDX:19260
@OFF:0xa63c
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かりました、他言は致しません。
@ENG:

@IDX:19262
@OFF:0xa719
@SPK:［志津江］
@JPN:　そうかい？　いや、信じないわけじゃないんだけどね。変な噂が流れちゃ、あの子も仕事がやりにくいだろう？
@ENG:

@IDX:19265
@OFF:0xa7b5
@SPK:[\protag]
@JPN:　分かってます。僕も、副院長には色々お世話になってますから……。
@ENG:

@IDX:19267
@OFF:0xa974
@SPK:［美和子］
@JPN:　お待たせしました。副院長がお会いするそうです。私がご案内いたします。
@ENG:

@IDX:19269
@OFF:0xa9ff
@SPK:［志津江］
@JPN:　わざわざありがとうよ。兄さんもつき合わせちゃったみたいで悪かったね？
@ENG:

@IDX:19272
@OFF:0xaa7b
@SPK:[\protag]
@JPN:　いえ、お気になさらないで。
@ENG:

@IDX:19274
@OFF:0xaadc
@SPK:［志津江］
@JPN:　じゃあ姉さん、案内頼むよ。
@ENG:

@IDX:19276
@OFF:0xab3d
@SPK:［美和子］
@JPN:　はい。ではこちらへどうぞ。
@ENG:

@IDX:19277
@OFF:0xabac
@SPK:
@JPN:　クラブのオーナーが、副院長に何の用だろう？
@ENG:

@IDX:19278
@OFF:0xabe6
@SPK:
@JPN:　悪い人には見えなかったから、取り次いでもらった　けど……。
@ENG:

@IDX:19279
@OFF:0xac56
@SPK:
@JPN:　……副院長の話は本当だったんだ。
@ENG:

@IDX:19280
@OFF:0xac86
@SPK:
@JPN:　成功した今の彼女の姿しか知らない僕は、副院長の　言ったことを話半分に聞いていた。
@ENG:

@IDX:19281
@OFF:0xace6
@SPK:
@JPN:　だが、成功の陰には、人並みならぬ苦労がある。
@ENG:

@IDX:19282
@OFF:0xad22
@SPK:
@JPN:　そのことを改めて思い知らされた気がする。
@ENG:

@IDX:19283
@OFF:0xae34
@SPK:
@JPN:　１ページも進まぬまま放り出された参考書の表紙が　どこか湿ったようにしなっているのは、僕のため息　のせいではあるまいか？
@ENG:

@IDX:19284
@OFF:0xaeba
@SPK:
@JPN:　……一瞬、そんなことを考えた。
@ENG:

@IDX:19285
@OFF:0xaee8
@SPK:
@JPN:　寮の部屋に戻った僕は、今日一日での境遇の変化に　幾度となくため息を漏らし続けていた。
@ENG:

@IDX:19286
@OFF:0xaf4c
@SPK:
@JPN:　先程から、同じ言葉を頭の中で繰り返している。
@ENG:

@IDX:19287
@OFF:0xaf96
@SPK:
@JPN:　……もう一度だけ言おう。
@ENG:

@IDX:19288
@OFF:0xafbe
@SPK:
@JPN:　とんでもないことになってしまった……。
@ENG:

@IDX:19289
@OFF:0xaff4
@SPK:
@JPN:　まさか自分が死体洗いをする羽目になるなどとは、　今まで思ってもみなかった。
@ENG:

@IDX:19290
@OFF:0xb04e
@SPK:
@JPN:　しかも明日から……。
@ENG:

@IDX:19291
@OFF:0xb072
@SPK:
@JPN:　心の準備をする暇すらない。
@ENG:

@IDX:19292
@OFF:0xb0aa
@SPK:
@JPN:　だがどれほど急だとしても、明日から死体を洗うと　いう現実に変わりはない。
@ENG:

@IDX:19293
@OFF:0xb102
@SPK:
@JPN:　初めての作業……遺体の清掃……死体洗い。
@ENG:

@IDX:19294
@OFF:0xb13a
@SPK:
@JPN:　全ては明日にならなければ分からない。
@ENG:

@IDX:19295
@OFF:0xb16e
@SPK:
@JPN:　僕にできるか？　続けられるか？
@ENG:

@IDX:19296
@OFF:0xb19c
@SPK:
@JPN:　……何も分からない。
@ENG:

@IDX:19297
@OFF:0xb1d2
@SPK:
@JPN:　こんな状態では、勉強などできるわけがない。
@ENG:

@IDX:19298
@OFF:0xb20c
@SPK:
@JPN:　今日はもう眠ってしまおう。
@ENG:

@IDX:19299
@OFF:0xb236
@SPK:
@JPN:　眠ってしまえば、思い悩む必要もなくなる。
@ENG:

@IDX:19300
@OFF:0xb27e
@SPK:
@JPN:　明かりのスイッチに手を伸ばし、思い止まる。
@ENG:

@IDX:19301
@OFF:0xb2b8
@SPK:
@JPN:　今夜はこのまま眠ろう……。
@ENG:

@IDX:19302
@OFF:0xb2e2
@SPK:
@JPN:　敷いておいた布団にそのまま横たわり、ゆっくりと　目を閉じた……。
@ENG:

